ステロイド注射について

本日腱鞘炎で来院された患者様に「ステロイドの注射は良くないの?」と質問されました、
以前にも同じような質問を何度かされたことがありましたので、みなさんちょっと気になるようですね。
腱鞘炎などの炎症症状に対するステロイド注射は、確かに強力な消炎作用があるので、一時的な痛みの緩和や炎症の抑制にとても効果的です。その一方でよく「打ちすぎは良くない」と言われる理由にはいくつかあります:

🔸 1.腱や腱鞘の組織を弱くする
ステロイドは腱を主に構成するコラーゲンの合成を抑制する作用があり、何度も注射すると腱や腱鞘が脆くなって、腱断裂のリスクが上がります。 例えば、人体で一番太い腱と言われるアキレス腱断裂の報告もあるくらいです。

🔸 2. 繰り返すことで効果が薄くなる
初回は劇的に効いても、何度も打つうちに効きにくくなる(いわゆる“慣れ”や“耐性”のような状態)になることがあります。

🔸 3. 感染のリスクが上がる
ステロイドには免疫抑制作用もあるので、注射部位に感染が起きやすくなるリスクがあります。

🔸 4. 関節や軟骨への悪影響
長期間・頻繁に打つと、関節内の軟骨を変性させる可能性があるという報告もあります。特に関節内注射の場合に注意。

🔸 5. 血糖値や全身への影響(まれに)
糖尿病の方では血糖値が上がることがありますし、頻繁な注射で全身的な副作用が出る可能性もゼロではありません。

💡 実際の目安としては?
注射に関して明確な決まりはないようです、部位や症状によっても違うのですが、一般的には同じ部位には年に3回以内、多くても1か月以上間隔をあけてとされることが多いようです。

ステロイド注射は「即効性は高いけど、あくまで“切り札”」という感じですね。

腱鞘炎の治療は、安静、局所のアイシング、ストレッチ、鍼灸や手技療法、テーピングなどを組み合わせて、根本的な原因にアプローチすることが大事です。

2025年04月10日